コミュ障夫婦が戸建てで子育て

『中年を自覚したくない病』の夫婦が、小さな新興住宅地で、幼児と赤子と暮らしています。趣味は音楽と読書な夫と、ミュージカルが観たい妻。周りを気にし過ぎてしまうあまり、周りは気にせず楽しく暮らす!と躍起になる妻と、わりと色々協力的な夫の日々。最近はニュース戯言多め。

【トパーズ・ラブ後編】なぜ妻は30代にして初めてキンキキッズのCDを買ったのか【歌詞とメロディー考察】

「ライトなファン」を自称する妻が、なぜ、30代にして初めてキンキキッズのCDを買ったのか。理由を紹介する記事の続きです。今回で完結です。

 

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「『トパーズ・ラブ』は、キンキキッズの20年の歩みが詰め込まれているのに、ファンでなくても楽しめる良曲だ。節目を飾るのにふさわしい」と我が家で盛り上がっていますので、メロディーと歌詩(歌詞)について考えてみました。

 

初回盤は売り切れ

妻は、NHK「ソングス」を見終えると、すぐにスマートフォンを手にしました。鬼の形相です。

「な、な、な、なに??どうしたの?」。夫が驚き、たずねました。

「買うんだよ!『トパーズ・ラブ』を買うんだよ!あんたも『ソングス』見たんだから分かるでしょ?あたしゃあ、キンキの2人を応援するんだよ!こうなったら初回盤を手に入れるよ!」

アマゾン、楽天タワーレコード、ツタヤ、エイチエムブイ、と通販サイトという通販サイトをハシゴしましたが、発売前にも関わらずどこも売り切れ。

 

妻は「ジャニーズってこうなの?軽い気持ちで欲しいと思っても初回盤は手に入らないの?私に足りないのは覚悟?」と驚き、通常盤であきらめることにしました。

 

脱線(キンキVSロケット・ジュース)

数日後。CDが届き早速オーディオで鳴らしました。

夫は、NHK「ソングス」に夢中になっていたくせに、熱が冷めたのか、詩や曲以外に興味が向いています。

「へー、ボーカルの音量が大きいよね。反対にベースやドラムが小さい。あ、ベースはそれほど小さくもないか」。

普段聞くロックやジャズ、クラシックと比べると、音量のバランスの違いにすこし驚いたのだといいます。

妻は「気にしたことがなかった。そんなもんかね」。

 

夫は「じゃあ、ちょっと、ロケット・ジュース・アンド・ザ・ムーンを聞いてみてよ。違いが分かるから」とCDを入れ替えました。

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「ね、ベースや、特にドラムの存在感が違うでしょ。ドラムを叩いているトニー・アレンという人はナイジェリア出身で、1960~70年代にはアフロ・ビートというジャンルをつくったような伝説的な存在なんです。ベースのレッド・ホット・チリ・ペッパーズのフリーさんや、このプロジェクト自体を主導してて、ボーカルもとっているデーモン・アルバーンさんも大物だけど、トニー・アレンさんはちょっと別格的な位置づけっていうのかな」

「録音というか、音全体のイメージもロケット・ジュースはカラっとしているでしょ?反対にキンキキッズはしっとりというか、湿度がほんのり高い感じ。聞き比べると全然違うなあ。デーモン・アルバーンさんとトニー・アレンさんが別でやっている『ザ・グッド、ザ・バッド・アンド・ザ・クイーン』というバンドがまたかっこよくてねえ。聞いたことあるでしょ?」

 

夫のべらべらが止まりません。「昔、『オアシス対ブラー』ってあって、オアシスの方がビートルズフォロワーの筆頭ってイメージあったけど、音楽の幅の広さで言うと、むしろブラーの方がビートルズに近いと思うんだよね。グランジにもアフリカ音楽にも手を出してさ。逆にオアシスはストーンズっぽくない?伝統芸能っぽいっていうか」

 

妻は「う~ん、私もデーモン・アルバーンは好きだけど、脱線が過ぎるよ。とりあえずキンキに戻してよ…」。

 

見劣りしないキラキラ感

CDを入れ替えると、我が家はキンキキッズの2人が作り上げたメロディーや詩に飲み込まれ、夫が雄たけびを上げ始めました。

 

「え?なんでこんなにキラキラしてるの?作曲者は光一さんじゃなかったっけ?」

 

「そうだよ。『ソングス』で見たでしょ?剛が作詩、光一が作曲だよ」

 

夫は「それは分かっているんだけど、それでもびっくりしているわけ。キンキキッズは異様に制作陣に恵まれてるでしょ?」といい、既発曲のリストアップを始めました。

 

 

夫がリストを基に「キラキラ感」について語ります。

キンキキッズの曲には独特のキラキラ感があると思うのだよ。他のアイドル歌謡とは一線を画しているというか。剛さんには『硝子の少年』を地で行くような壊れそうなはかなさがあり、光一さんには何事にも同じない力強さがある。あの独特のキラキラ感の源は、もちろん二人の魅力があるんだろうけど、何よりも曲の作り手にあるのではないかと感じてきたわけだよ。でも、『トパーズ・ラブ』は光一さん作曲でしょ??」

 

夫は、息継ぎなしでまくし立て、「これまでの重鎮たちの曲に見劣りしないキラキラ感を感じてしまうのだよ」と言い切りました。「堂島孝平さんが編曲しているから味付けはハイクオリティなんだろうけど、これはすごいことなんじゃないの?」

 

妻は、「この曲をキラキラ感というなら、光一の曲に共通する持ち味なのかも…昔、『ソリチュード』聴いたときにも、良いなと思ったよ。あ、『ソリチュード」は、『リモート』っていう光一と深キョンが出てた土9ドラマの曲でね。『お疲れ様です氷室警視!』『別に疲れてない』っつってね…」

夫が「全然知らない」と首を振ったため、とりあえず本題に戻ります。

 

聴覚

「もう1回聞こう」という妻のリクエストに応じ、プレーヤーを操作した夫は歌詩(歌詞)カードを手に取り、雄たけびを上げ始めました。

「な、る、ほ、ど~!」「剛さんは、『聴覚』以外の感覚で描き出してるわけだ!考えてるなあ!」

「なあにー?」曲を聞いていた妻は、夫の二度目の雄たけびにうるさげな顔をしましたが、そこは気にせず続けます。

 

夜空 弾く 華の灯が
弧を描いてそっと黙る
聴こえなくなった続きへ
耳を澄ます寂しい世界

気づかれ始めて高鳴る胸
辿り着きそう…
愛のひと…
どうか oh 待っていて

Topaz Love…
輝き暴れた宝石 恋の色の宝石よ
Topaz Love…
あなた目掛けるネオンが綺麗
泣き見惚れている… 大好きよ…

 

「一番の歌詞を見てみてよ。第一章節で、『黙る』や『聴こえなくなった』というフレーズがあるよね?この時点で、歌の主人公の聴覚は消失してしまっているわけだよ。でも聴覚がなくなったことが信じられないから、『耳を澄ま』しているんだよ。第二章節からは、耳で聴こえなくても把握できる事柄ばかりになる。宝石とかネオンとかね」

 

またも夫は止まらなくなりました。

「この流れで『高鳴る胸』という言葉を使うあたりが面白いよね。『鳴る』だけだと聴覚の世界だけど、『胸』と結びつくことで、聴覚がなくても感じられる世界になる。すなわち、自分の胸の高鳴りだよね。あれ、直前に『気づかれ始めて』ってあるけど、難聴になったことが周囲に知られて、どうしよう…どうなるんだろう…という状態なのかな」

 

「いや、周囲の不特定多数の人たちではなく、特定の恋人やパートナーに難聴が知られてしまいそうっていう状況?そうなると、むしろ触覚以外の世界が広がるねえ!密着感っていうの?この主人公は誰と抱き合っているんだろうねえ!!耳が聞こえないからこそ、自分の胸の高鳴りや、抱き合っている相手の胸の高鳴りをいつも以上に感じられるわけだよ」

 

そして妻に投げかけました。

「君に分かるかね?ライトで一般人ファンの君に、この世界観が分かるかね?あまり期待してなかった分、ちょっと鳥肌が立つね。『ソングス』見てしまったからかな」

 

妻は若干引き気味に「う、うん…。でも、抱き合っているかどうかは分からないなあ…」とだけ応じました。

 

「突発ラブ」

NHK「ソングス」では、「トパーズ・ラブ」の制作過程が明かされました。

 

横浜スタジアムで開催された20周年記念イベント「キンキキッズ・パーティ!」。
1人でステージに立った光一さんは、剛さんに作詩を頼むつもりでいた歌を即興で歌いました。

 

光一さんは当時の思いや狙いについて、スタジオでのインタビューで、

「その光景を剛がモニターで見ながら、詩を書いたらどんな詩が生まれるんだろうなって思ったんですよ。あの場所で剛に聞かせてやったら、曲自体がすごくわれわれとファンのみなさんと何かすごく思いが強い曲になるなあって思いついた。だから思いつきですよ」

と説明しました。

 

剛さんは、光一さんの歌声で会場を包むファンの空気を感じ取り、仮の詩を書き上げ、モニター越しに、スタジアムの光一さんやファンに見せました。

 

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仮タイトルは「突発ラブ」。
「突発」が、最終的に、前向きな力を与えてくれる宝石と言われている「トパーズ」になりました。

 

剛さんはインタビューで、

「この経験を無駄にしたくない。このフレーズ、今しかでえへんのかもなみたいなフレーズのほうを大事にして、それを歌うたびにイベントのことを思い出したり、自分の耳でもし治ったとしても、あの時、大変やったなとか、あの時、あの人に出会ったことによって、だから今があるなとか、、そういうことも含めて、ちゃんとこう振り返られる、ための、そこにタイムスリップできるような詩を書いた方がいいかなと思って」

と話しました。

 

女性視点

妻の求めに応じてさらに何度かCDを聞いた夫はだしぬけに、「あー、これ言ってたね!」と雄たけびを上げ、NHK「ソングス」を見直し始めました。

「ほら、インタビューの冒頭で、剛さんは病気について、『急に水に潜ったようなみたいになった』って説明していたんだよね。二番の歌詞にもあるわ」

 

水の中 潜ったような
静寂へと難破したあたし
どこまでも続く孤独の
青い色に赤らむ唇

 

「聴覚の消失を、剛さんはここであらためて、明確に打ち出してきているわけですよ。もう隠すものは何もない。もう『気づかれ始め』た段階ではないんだよ。それにしても、『静寂へと難破』なんて独特な言い回しだよね。でもなんで一人称が『あたし』なんだろう?」


「あ、剛が書いた『愛のかたまり』も女性視点だったよ」

今度は、妻が感想を語り始めました。

「独特な言い回しっていうと、『泣き見惚れてる』とかが、剛ブシだよね。ちょっとこじらせた感じというか、一筋縄ではっていうか、素直には書かない自意識がさ。愛のかたまりでいうと『あなたでよかったと歌うの』みたいな」

 

続いて、サビの考察です。

「でさ、『ネオン』はファンのペンライトのことらしいけど、そうなると、『あなためがけるネオン』だから、『あなた』は、ネオンの目がける先、つまり光一だよね」

「その後の『大好きよ』は、歌詩(歌詞)の流れ的に光一への言葉になるよねー。まあ、そこにいるファンへの言葉でもあるだろうから、含みを持たせる感じにはなってるけど。剛が書くストレートな表現が逆に響くわ~。歌詩で大好きと言っちゃうのよ。絆よ、絆!」

「あ、2番は、『誰か愛するネオンはきれい』だから、ファンへの感謝が主になるのかな」

 

交わる2人

サビの2回繰り返しで2番が終わると、いよいよクライマックスの大サビです。

 

誰を好きになってもいいの

いちどきりのあなたを好きになっていたいよ

☆☆

結ばれることをどこかで恐がり

嘘ついて恋していいの?

廻り逢ったくせに 結ばれず夢の途中

覚めないあなたが痛いよ

 

☆は光一さん、☆☆は剛さん。二人は別のメロディーで、別の歌詩を歌うのに、二人の声が交わるポイントが二つあります。

「いいの(いいの?)」「いたいよ(痛いよ)」です。

妻は曰く「最大の萌えポイント」。

「いいの(いいの?)」でためて、「いたいよ(痛いよ)」と放出。

夫婦は「お~!!メロディーも詩も違うのにハーモニーがすごい!!!鳥肌立った!!!!」とうなりました。

 

ほぼ初キンキキッズの夫が腕を組みました。

「これは20周年にふさわしい曲なんじゃない?剛さんの病気という不幸な出来事はあったけど、あったからこそ、20年のすべてがこの曲に結実している印象がある。これはすごい曲なんじゃない?」

 

「ライトなファン」「一般ファン」を自称する妻は、「ようやくキンキの魅力が分かったかね」と偉そげに言いました。